目次* 1. イギリス改革党が仮想通貨政策を公約* 2. ファラージ氏が語る仮想通貨税制と国家戦略 + 2.1. 仮想通貨キャピタルゲイン税率10%・口座閉鎖禁止へ + 2.2. 改革党による仮想通貨寄付の受け入れ* 3. 仮想通貨政策をめぐり揺れる英国政界 + 3.1. 現政権が仮想通貨政策に警鐘 + 3.2. 仮想通貨寄付が政治を動かす時代へ## イギリス改革党が仮想通貨政策を公約英国(イギリス)改革党のナイジェル・ファラージ党首は2025年5月30日、米ラスベガスで開催されたビットコインカンファレンス「Bitcoin 2025」の講演で、**2029年の次期総選挙で政権を獲得した場合に仮想通貨政策の大幅な改革を行う意向を表明**しました。ファラージ氏は「仮想通貨・デジタル金融法案」と名付けた法案草案を掲げながら演説し、**国家ビットコイン準備金の創設と仮想通貨投資に対するキャピタルゲイン税の大幅削減を実施する計画**を明らかにしています。また、ファラージ氏は自党が「英国における仮想通貨革命を起こす」と述べ、英国を世界的な「仮想通貨ハブ(仮想通貨大国)」へと変革する考えを強調しました。## ファラージ氏が語る仮想通貨税制と国家戦略ファラージ氏のスピーチでは、仮想通貨(暗号資産)・デジタル金融法案の具体的な内容が紹介されました。### 仮想通貨キャピタルゲイン税率10%・口座閉鎖禁止へ同氏によると、この法案には**仮想通貨のキャピタルゲイン税率を現行の最大24%から10%へ引き下げる措置が盛り込まれており、イングランド銀行(イギリス中央銀行)に「ビットコイン準備金」を設立する計画も明記**されているとのことです。さらに、銀行が仮想通貨を理由に顧客の口座を閉鎖したり、サービス提供を拒否したりする行為(デバンキング)を違法化する規定も含まれています。ファラージ氏はこれらの取り組みを通じて「仮想通貨とデジタル資産をイギリスで冷遇されている現状から救い出す」と述べ、英国経済を21世紀にふさわしい姿にアップデートすることを目指すと強調しました。ファラージ氏はイギリス国内で約700万人(人口の1割以上)が仮想通貨を保有していることに言及し、仮想通貨ユーザーの声を政策に反映する必要性を訴えています。特に若年層の支持を獲得するために「英国の若者と一緒にこの国を変えていこう」と呼びかけ、仮想通貨やビットコインなどのデジタル資産はもはや無視できない存在だと強調しました。ファラージ氏自身も昨年、複数の銀行口座を一方的に閉鎖された経験を持つことを明かし「**だからこそ多くの人々がビットコインや仮想通貨に向かうのだ。銀行に口座を閉じられる心配のないことこそが究極の自由だ**」と語っています。### 改革党による仮想通貨寄付の受け入れまた、改革党がビットコイン(BTC)による寄付の受け入れを開始したことも発表しました。ファラージ氏は「我が党は英国で初めてビットコインなど仮想通貨での寄付を受け付ける政党となった」と述べ、30日夜に改革党の公式サイトで仮想通貨による寄付受付システムを導入したことを明らかにしました。同党サイトではビットコインのほかイーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)、USDコイン(USDC)による献金が可能となっており、寄付に際しては英国選挙管理委員会のルールに基づき寄付者情報の開示が必要である旨の注意書きも掲載されています。>> 改革党の公式サイト「Reform UK」## 仮想通貨政策をめぐり揺れる英国政界ファラージ氏による一連の「仮想通貨革命」宣言は国内外で大きな注目を集めました。### 現政権が仮想通貨政策に警鐘英国のキア・スターマー首相(労働党党首)は5月30日の演説で、ファラージ氏の財政政策全般について「幻想に過ぎない政策だ」と強く批判し、もし改革党が政権を取れば「大規模な減税の連発によって英国経済を破綻させかねない」と警鐘を鳴らしています。現政権のレイチェル・リーブス財務相も先月、仮想通貨企業を伝統的な金融企業と同様に規制するための法案を公表するなど、英国政府は健全な市場育成と投資家保護を重視する姿勢を示しています。一方で、改革党による仮想通貨寄付の解禁については「仮想通貨は匿名性が高く、政治献金の透明性確保が難しくなる」と指摘する声もあり、金融犯罪対策の専門家は「仮想通貨による匿名寄付が無制限に政界に流入する抜け道となりかねない」と懸念を示しました。### 仮想通貨寄付が政治を動かす時代へしかし、仮想通貨投資分析会社ByteTreeの創設者チャールズ・モリス氏はポジティブな見方を示し「ファラージ氏にとって仮想通貨での寄付受け入れは、自身が最先端の金融テクノロジーに共鳴していることを示す手段だ」と評価しています。実際、世界に目を向けると米国ではトランプ氏が2024年大統領選で仮想通貨による選挙資金集めを行い、支援団体(PAC)が約750万ドル(約11億円)相当の仮想通貨寄付を集めた例もあります。改革党の「仮想通貨ハブ化」政策は、こうした世界的なデジタル資産普及の流れとも一致しており、ファラージ氏はアメリカでのデジタル資産の受容について「素晴らしい動きだ」と称賛しつつ、ロンドンを世界有数の仮想通貨取引の中心地に押し上げたい考えも示しています。2025年2月の世論調査では改革党の支持率が主要政党を上回ったことも報じられており、今回の仮想通貨政策は2029年総選挙に向けたファラージ氏の重要な政治戦略として注目を集めています。※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=144.28円)>>最新の仮想通貨ニュースはこちらSource:Bitcoin 2025 執筆・翻訳:BITTIMES 編集部 サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用
イギリス改革党党首「国家ビットコイン準備金設立・仮想通貨税引き下げ」を総選挙公約に
目次* 1. イギリス改革党が仮想通貨政策を公約
イギリス改革党が仮想通貨政策を公約
英国(イギリス)改革党のナイジェル・ファラージ党首は2025年5月30日、米ラスベガスで開催されたビットコインカンファレンス「Bitcoin 2025」の講演で、2029年の次期総選挙で政権を獲得した場合に仮想通貨政策の大幅な改革を行う意向を表明しました。
ファラージ氏は「仮想通貨・デジタル金融法案」と名付けた法案草案を掲げながら演説し、国家ビットコイン準備金の創設と仮想通貨投資に対するキャピタルゲイン税の大幅削減を実施する計画を明らかにしています。
また、ファラージ氏は自党が「英国における仮想通貨革命を起こす」と述べ、英国を世界的な「仮想通貨ハブ(仮想通貨大国)」へと変革する考えを強調しました。
ファラージ氏が語る仮想通貨税制と国家戦略
ファラージ氏のスピーチでは、仮想通貨(暗号資産)・デジタル金融法案の具体的な内容が紹介されました。
仮想通貨キャピタルゲイン税率10%・口座閉鎖禁止へ
同氏によると、この法案には仮想通貨のキャピタルゲイン税率を現行の最大24%から10%へ引き下げる措置が盛り込まれており、イングランド銀行(イギリス中央銀行)に「ビットコイン準備金」を設立する計画も明記されているとのことです。
さらに、銀行が仮想通貨を理由に顧客の口座を閉鎖したり、サービス提供を拒否したりする行為(デバンキング)を違法化する規定も含まれています。
ファラージ氏はこれらの取り組みを通じて「仮想通貨とデジタル資産をイギリスで冷遇されている現状から救い出す」と述べ、英国経済を21世紀にふさわしい姿にアップデートすることを目指すと強調しました。
ファラージ氏はイギリス国内で約700万人(人口の1割以上)が仮想通貨を保有していることに言及し、仮想通貨ユーザーの声を政策に反映する必要性を訴えています。
特に若年層の支持を獲得するために「英国の若者と一緒にこの国を変えていこう」と呼びかけ、仮想通貨やビットコインなどのデジタル資産はもはや無視できない存在だと強調しました。
ファラージ氏自身も昨年、複数の銀行口座を一方的に閉鎖された経験を持つことを明かし「だからこそ多くの人々がビットコインや仮想通貨に向かうのだ。銀行に口座を閉じられる心配のないことこそが究極の自由だ」と語っています。
改革党による仮想通貨寄付の受け入れ
また、改革党がビットコイン(BTC)による寄付の受け入れを開始したことも発表しました。
ファラージ氏は「我が党は英国で初めてビットコインなど仮想通貨での寄付を受け付ける政党となった」と述べ、30日夜に改革党の公式サイトで仮想通貨による寄付受付システムを導入したことを明らかにしました。
同党サイトではビットコインのほかイーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)、USDコイン(USDC)による献金が可能となっており、寄付に際しては英国選挙管理委員会のルールに基づき寄付者情報の開示が必要である旨の注意書きも掲載されています。
仮想通貨政策をめぐり揺れる英国政界
ファラージ氏による一連の「仮想通貨革命」宣言は国内外で大きな注目を集めました。
現政権が仮想通貨政策に警鐘
英国のキア・スターマー首相(労働党党首)は5月30日の演説で、ファラージ氏の財政政策全般について「幻想に過ぎない政策だ」と強く批判し、もし改革党が政権を取れば「大規模な減税の連発によって英国経済を破綻させかねない」と警鐘を鳴らしています。
現政権のレイチェル・リーブス財務相も先月、仮想通貨企業を伝統的な金融企業と同様に規制するための法案を公表するなど、英国政府は健全な市場育成と投資家保護を重視する姿勢を示しています。
一方で、改革党による仮想通貨寄付の解禁については「仮想通貨は匿名性が高く、政治献金の透明性確保が難しくなる」と指摘する声もあり、金融犯罪対策の専門家は「仮想通貨による匿名寄付が無制限に政界に流入する抜け道となりかねない」と懸念を示しました。
仮想通貨寄付が政治を動かす時代へ
しかし、仮想通貨投資分析会社ByteTreeの創設者チャールズ・モリス氏はポジティブな見方を示し「ファラージ氏にとって仮想通貨での寄付受け入れは、自身が最先端の金融テクノロジーに共鳴していることを示す手段だ」と評価しています。
実際、世界に目を向けると米国ではトランプ氏が2024年大統領選で仮想通貨による選挙資金集めを行い、支援団体(PAC)が約750万ドル(約11億円)相当の仮想通貨寄付を集めた例もあります。
改革党の「仮想通貨ハブ化」政策は、こうした世界的なデジタル資産普及の流れとも一致しており、ファラージ氏はアメリカでのデジタル資産の受容について「素晴らしい動きだ」と称賛しつつ、ロンドンを世界有数の仮想通貨取引の中心地に押し上げたい考えも示しています。
2025年2月の世論調査では改革党の支持率が主要政党を上回ったことも報じられており、今回の仮想通貨政策は2029年総選挙に向けたファラージ氏の重要な政治戦略として注目を集めています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=144.28円)
Source:Bitcoin 2025
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用